よく職人仕事は「盗んで覚えろ」と言います。
私なりに感じたのは「盗んで」というのは、悪い意味でなく、露悪的に言ったものだということ。
体を使う仕事は、口で説明するのがむつかしく、また一度では伝わらないことが多い。
おまけに、何度も失敗しながら、痛い思いをしながら覚えるものだからです。(もちろん故意にいじわるされることもあります。)
数週間かけてしあげた現物をみせてはじめて
「これ全部ほどいてやり直してきてね」
とか、こういうのも何も考えずにあたりまえにやり直す。するとまあ、まず一生この作業に関して、間違えることはないわけです。(ただし見せる前は、不必要に緊張。)
私はもの覚えも悪く、とても不器用なので、こういうことは毎回。もうあまり深く考えないことにしました。世の中は愚鈍な方がいい事もあるようです。
もしいくら親切ッ気を出して、はじめから師匠が丁寧に教えても、双方の語彙や価値観が違うと伝わらない。
こないだこんな事がありました。初めてやる仕事を師匠と2人で教わりながらやることに。はじめは私だけ、横で師匠が口を出しながら作業をしていました。
しばらくして師匠もそれをやりだしたら
「あ、やって思い出したけど、これ逆のやり方してくれる?」
その後で
「私も忘れっぽいから、実際に目にしたりやったりしないと思い出さないのよねー。」
と。
もの覚えが悪いのは、私だけじゃないんだとなんだかひと安心。
あと、たぶん双方の関係が悪いと、本当に「盗む」しかないみたいです。
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