2007年2月24日土曜日

今まででいちばん!

先日、また落語を聴きに行ってきました。場所は、我が家から5分ほどのところにある橋場公会堂。町内会の掲示板で、ときどき落語をここでやっているのは知っていたのですが、なかなか日にちが合わず、今回初めて行く事ができました。

三遊亭好二郎さんと立川吉幸さんのと三遊亭かっ好会でして。こんな会でした。

三遊亭かっ好 豆屋 ・ 三遊亭好二郎 雛鍔

立川吉幸   明烏  ・ お仲入り

三遊亭好二郎 壺算



左の写真が会場の外観です。見ればわかると思うけど、どう見ても戦前からある民家です。正直言って、近所にこんな公会堂があるのにびっくりです。おそらく普段は、民謡や踊りの発表会などに使われているらしく、古いにも関わらず、ちゃんと生きている建物です。トイレなども使ったのですが、上に木製のタンクがあって、長いレバーを引いて、水が流れるしくみ。戦前か、戦後直後のトイレの造りです。でも、きれいにお掃除がしてあって、手入れがしてあるので、傷みはない気持のいいお手洗いでした。

私の仕事場や、祖母の家なども負けず劣らず古いのですが、日本建築は、ちゃんと使われていれば、古くても時々手入れさえしてえあげればいたむことなく、ずっと使えるのです。

で、入ってまたまた驚かされる。30~40畳くらいの大部屋と舞台。ちょっとした旅館の大広間です。そして、部屋の真ん中に直径1メートルほどの火鉢があって、お湯がしゅんしゅん沸いてます。
木戸のところで、町内会の人らしいおじさんに、「何で、この寄席知ったの?」と訊かれました。
私が「落語を聴くのが好きなので、町内会の掲示板を見てきました。」というと、ちょっとびっくりされました。
「若い人なのにめずらしいね。」と言われ、会場を見渡すと、満員のお客さんはほとんどがご年配の人。他に若い人は、30代後半とおぼしき落語が三度の飯よりも好きそうな男性と、着物を着た女性(後で、噺家さんの追っかけと判明)のみ。めちゃくちゃアットホームです。

しかも、舞台を見ると、はじっこには、40年くらい前のテレビが二台、タイシルクの布をかけた台の上にあり、隣には造花を華麗に活けた、大きな花瓶があります。その横に意味不明のファンシーな置きものがったりします。
家さんの坐る高座のお座布団のやや斜め後ろには、ご近所の人が丹精したらしい胡蝶蘭がまた、おおきな花瓶にふんだんに活けてあって、気取らなくてすごくいい感じなのです。

で、肝心の寄席ですが、大盛り上がり。私が今まで行った寄席の中で一番よかったです。(お断り:私はそんなに、寄席に行くわけじゃないです。あくまで年に数回行く程度。)
なぜかというと、聴き手のレベルが一番よかったから。そして落語のちょっとした細かい話にもピピッと反応するから、噺家さんの噺もどんどんいいレベルになっていくのです。ほとんどのお客さんは、落語で育ってきた世代の人がばかり。しかも、半蔵門や霞ヶ関あたりにある、わざわざお出かけするような場所でやる落語ではなく、自分の家からちょっと気軽に来たようなお客さんばかり。だから、気取らなくて、肩の力も入らず、お客さんも、噺家さんもいい意味で非常にリラックスしています。

前座の方の噺も、普段聴く前座の人の落語よりぐっとよかったです。
とにかく時事ネタもおかしいし、本題の落語もほんとに面白い。ふと、隣をみると、80代くらいの女性が時事ネタにふんふんとうなずいたり、「ほんと、そうよねえ。最近は全く・・・!」などと相槌うっているのがまた笑えます。

途中の休憩では、町内会のおばさんたちが、奥のお台所でお茶を入れて、お客さんに配ってくれたり、ほんとアットホームなのです。司会の人が「この寄席は20年続いています。」と説明されたので、長く続いているだけに、こんないい感じが出るんだな、と思いました。

2007年2月22日木曜日

何でなんだろう

最近、昭和の戦前や戦後の小説・随筆に眼を通すことが多い。その時にいつも思うんだけど、なんでこういういい小説が今はないんだろう、って事だ。
私は最新刊の本を買うというと、どうしてもドキュメントや評論、漫画が多いから、新作の小説や随筆はあまり眼を通す機会が少ない。
でも、本屋でそういうのが並んでいても、実際あんまり手に取りたくないんだ。おいしそうではないんである。町田康や西原理恵子は手が伸びますから別だけど。漫画だったらばいくらでも手が伸びるのに。

みんな淡白なのはいいけれど、ふわふわして何が言いたいのかよくわからなくていらいらして時間を返せといいたくなるようなもの。あるいは、色っぽいのはいいけれど、しつこくて濃厚でくどいのばっかり。

ここのところ、戦前戦後の女流作家の作品を読む機会が多かったけど、円地文子さんとか、岡本かの子さんとかその他いろんな方がいるけど、長編でも短編でも、どちらを書いてもすごい。

もちろん食い入るようにしてあっという間に読み終えられる作品は、今現在の作品でもたくさんある。でも、読後に何か、わが身がすっきりするような、何か余韻が残るような、そういうものは少ないのです。あったとしても、昔の作家の作品と比べると、あまりにも差がありすぎる。

何でなんだろう。どなたか、いい作家さんいたら教えてください。私もたまには現代の人でいい作家の作品が読みたいのです。

7時間のぜいたく

家にたどりついたのは、午前三時だった。飲み会が一時近くに池袋であったのである。新宿まではタクシーを他の人と同乗したけど、そこからは家まで歩くことにした。

これは、タクシー代をケチるのも少しはあるけど、飲み会でいっぱい飲み食いするので、小一時間ほど歩いて、運動および、酔い覚ましをするのである。そのまままっすぐ帰宅して、玄関で酔いつぶれたことがあっただろうか。ま、そんなわけで、わが街新中野までたどりつき、そのままビデオ屋に入った。
ここで、ビデオと漫画を数冊借り、ごろごろとおうちで眠るのが私の幸せなのです。

おりしも小雨が降っていたが、まあなんとか家にたどりつくと鍵がない!午前3時、隣家の大家さんはよいっぱりな人ではあるが、さすがに家の電気は消えている。そうすると朝まで待って、大家さんに鍵を借りるしかない。どこで時間をつぶすか・・・。近くのロイヤルホストか、中野駅前の漫画喫茶。

しかし、ここのところ体がずっと痛い上、1時間も歩いて、疲労の極地。ロイホもいやだし、漫画喫茶の個室は、閉所恐怖症および、関節痛の私には辛すぎる。

ふと、近所にビジネスホテルがあるのを思い出した。(いくら私でもラブホテルに一人で泊まる度胸はないよ。)いつも傍を通るんだけど「HOTEL CRESCENT」というホテル。とりあえずそこまでとぼとぼと歩いていった。フロントに行くと、部屋が一部屋だけあるという。「ひょっとして受験シーズンだからですか?」
と聴くと、いかにもホテルマンという感じのおじさんは「そうなんですよー。それだからツインの部屋が一部屋しか開いていないんですよ。」という。はっきり言って財布にはほとんどお金が残っていなかったが、カードが入っていたので、助かった。
そんなこんなで、宿帳に住所を記入した。あまりに近所なので、家出してきたと思われると恥ずかしいので、「鍵を忘れてきちゃったんですよ。」と告白すると、笑顔で「そういう方、よくいらっしゃるんですよ。」と言われ、なんだかほっとした。

で、ルームキーを渡され、部屋に行くと、天井が高い、シンプルなシャンデリアの下がった部屋だった。はっきりいって、ビジネスホテルに全く期待していなかったので驚いた。それは、私がいつも旅行で泊まるビジネスホテルが、その街で一番安そうなホテルばかりなので、それをイメージしていたのもあるが。

しかし、家の近所で、ひとりでホテルにお泊り。最高のぜいたくである。ビデオ屋で漫画を借りておいてよかった!!漫画を爆読しながら、眠りにつく私。どうせなら、21時くらいにはチェックインしてゆっくりしたいものである。しかし無情にもチェックアウトは翌朝の10時。

朝、10時少し前に起きて、チェックアウトして大家さんのところへ直行。無事我が家に帰宅した。いつも自分が何かなくしたり忘れたりして、こういう事が起きると非常に自分を責め、後悔するのだが、今回あまりそういう気が起きなかった。ちょっと寝不足ではあったが、ホテルはきれいでいう事なかった。午前3時から午前10時まで、なんだか優雅なOLにでもなった気がした。

ただ、できれば次回はもっとゆっくりステイしてみたい。

2007年2月16日金曜日

最近の楽しみ

あんまりテレビは観ないほうなんだけど、最近すごく楽しみにしている番組がある。金曜の23時15分からテレ朝 で始まる「特命係長只野仁」。これを観て、タモリ倶楽部を観るのが、毎週の楽しみになってしまった。
週間現代で連載している柳沢みきおの漫画が原作で、こっちも大好きである。電王堂という会社に勤める、さえないサラリーマン只野仁が、実は電王堂の会長の秘密指名を受けて、社内で起きる不信な出来事を毎回解決していくのである。
で、テレビの「特命係長只野仁」は、水戸黄門に、深夜枠らしく笑えるお色気シーンたっぷりのドラマ。しかも、毎回お約束のお色気シーンがあって、おそらく水戸黄門同様、毎回同じ時間にお色気シーンがあるものと思われる。
毎回、歌舞伎町かと思われるような、おしゃれでないラブホテル、(連れ込みというべきか)サウナ、メイド喫茶を舞台に、秘密情報が交わされるのである。おかしい。

このドラマを堪能した後、タモリ倶楽部を鑑賞して、私の金曜の夜は更けていくのであった。

2007年2月13日火曜日

子矢野さん登場!

家の近所の遊歩道に、矢野さんと名づけてかわいがっていた猫がいた。
すごく賢くて、目つきが悪くて、態度がデカイ。まさに私の好みの王道を行っていた猫だったのである。しかも、オスだと長いこと思っていたら、ある日よく見るとどうも年とったメス猫であった。
猫のオスメスの区別を間違えたことがなかったので、「恐るべし!矢野さん!」などと思いながら、お気に入りの猫だったのである。

それが、去年の5月を境に姿を見せなくなって、どうも老衰で死んだらしい。毎日顔をみて、話しかけるのが無上の楽しみだっただけに、いまだに矢野さんのいた遊歩道を通るたびにさみしさはつのるばかり。
ところが、先週、その遊歩道から2区画くらい我が家の近くで、矢野さんにそっくりの猫のうしろ姿をみかけた。そこで、そのあたりの近所を探すといたのである。矢野さんが少し若くなったような猫が。しかも矢野さんは赤トラと白のぶち猫だったけど、まったく同じ配置の模様に少しだけ、黒い毛の箇所がある。
しかし、ガンとばすような目つきは矢野さんそのまま。娘に違いない。早速名前をつけようと考えた。ちょうどその日は山本精一とPHEWさんのアルバムを聞いていた。「♪マサオの子供は~子マサオ~♪」という曲がなんか気になっていたので「矢野の子供は~子矢野♪」である。
子矢野さんは、私が懐かしそうに話しかけるとけげんな顔をする(当たり前である)。が、ただ毎日話しかけ中。早く、矢野さんのようになついてほしい。
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2007年2月3日土曜日

マリーアントワネット

今週は、なぜか映画日和。今日は誘われて、「マリーアントワネット」を銀座で観てきました。ソフィアコッポラの三作目の監督作品。ガーリー、って事で雑誌では特集をかなりしていたので、さぞ混んでいるかと思いでかけました。
場所は、有楽町マリオンなんだけど、なぜかがらがら。金曜の夜なのに・・・。下のフロアでは、「愛の流刑地」を上映中。1階からエレベータに乗ると、下のフロアで大量のおじさんたちが降りていく。そう、彼らは「愛の流刑地」を観に来たのです。ちらっと、フロアを観るとおばさんの二人組みもいるにはいました。でも大半は一人でみるおじさんが多い・・・。なんか気持ちわるかったです。濃度の濃い、純一ワールドは、おじさんファンに支えられているのでしょうか。私は同じエロでも、明るいエロが好きなので、一緒に行った友達と「下のフロア気持わるいー。」と盛り上がってしまいました。

ま、それはおいといて「マリーアントワネット」ですね。漫画やら、小説やら、随分いろんな作品になってます。でもこの映画は淡々として、軽かった。しかし、軽いのでより現実感がありました。アントワネットも生身の人間なんだなあって。悲劇の主人公として大河ロマンとして描くと、なんかウソっぽくなっちゃうんですよね。私はそういうのは苦手なのです。
この映画は、タッチは軽いのにずんと来ます。本当のアントワネットは、天真爛漫で侍女やまわりの人にとても優しい人だったと聴いたことがあるんだけど、それがこの映画からも伝わってきました。

見所がファッションやヴェルサイユ宮殿なのはもちろんだけど、他にもマリアンヌフェイスフルが、アントワネットの母である女帝役ででているのもびっくり。すごいかっぷくのいい人になってます。後、使われている曲がロックが多く、パンクニューウェーブの「I want candy」なんかも入っていて面白かったです。