三遊亭好二郎さんと立川吉幸さんのと三遊亭かっ好会でして。こんな会でした。
三遊亭かっ好 豆屋 ・ 三遊亭好二郎 雛鍔
立川吉幸 明烏 ・ お仲入り
左の写真が会場の外観です。見ればわかると思うけど、どう見ても戦前からある民家です。正直言って、近所にこんな公会堂があるのにびっくりです。おそらく普段は、民謡や踊りの発表会などに使われているらしく、古いにも関わらず、ちゃんと生きている建物です。トイレなども使ったのですが、上に木製のタンクがあって、長いレバーを引いて、水が流れるしくみ。戦前か、戦後直後のトイレの造りです。でも、きれいにお掃除がしてあって、手入れがしてあるので、傷みはない気持のいいお手洗いでした。
私の仕事場や、祖母の家なども負けず劣らず古いのですが、日本建築は、ちゃんと使われていれば、古くても時々手入れさえしてえあげればいたむことなく、ずっと使えるのです。
で、入ってまたまた驚かされる。30~40畳くらいの大部屋と舞台。ちょっとした旅館の大広間です。そして、部屋の真ん中に直径1メートルほどの火鉢があって、お湯がしゅんしゅん沸いてます。
木戸のところで、町内会の人らしいおじさんに、「何で、この寄席知ったの?」と訊かれました。
私が「落語を聴くのが好きなので、町内会の掲示板を見てきました。」というと、ちょっとびっくりされました。
「若い人なのにめずらしいね。」と言われ、会場を見渡すと、満員のお客さんはほとんどがご年配の人。他に若い人は、30代後半とおぼしき落語が三度の飯よりも好きそうな男性と、着物を着た女性(後で、噺家さんの追っかけと判明)のみ。めちゃくちゃアットホームです。
しかも、舞台を見ると、はじっこには、40年くらい前のテレビが二台、タイシルクの布をかけた台の上にあり、隣には造花を華麗に活けた、大きな花瓶があります。その横に意味不明のファンシーな置きものがったりします。
家さんの坐る高座のお座布団のやや斜め後ろには、ご近所の人が丹精したらしい胡蝶蘭がまた、おおきな花瓶にふんだんに活けてあって、気取らなくてすごくいい感じなのです。
で、肝心の寄席ですが、大盛り上がり。私が今まで行った寄席の中で一番よかったです。(お断り:私はそんなに、寄席に行くわけじゃないです。あくまで年に数回行く程度。)
なぜかというと、聴き手のレベルが一番よかったから。そして落語のちょっとした細かい話にもピピッと反応するから、噺家さんの噺もどんどんいいレベルになっていくのです。ほとんどのお客さんは、落語で育ってきた世代の人がばかり。しかも、半蔵門や霞ヶ関あたりにある、わざわざお出かけするような場所でやる落語ではなく、自分の家からちょっと気軽に来たようなお客さんばかり。だから、気取らなくて、肩の力も入らず、お客さんも、噺家さんもいい意味で非常にリラックスしています。
前座の方の噺も、普段聴く前座の人の落語よりぐっとよかったです。
とにかく時事ネタもおかしいし、本題の落語もほんとに面白い。ふと、隣をみると、80代くらいの女性が時事ネタにふんふんとうなずいたり、「ほんと、そうよねえ。最近は全く・・・!」などと相槌うっているのがまた笑えます。
途中の休憩では、町内会のおばさんたちが、奥のお台所でお茶を入れて、お客さんに配ってくれたり、ほんとアットホームなのです。司会の人が「この寄席は20年続いています。」と説明されたので、長く続いているだけに、こんないい感じが出るんだな、と思いました。