2009年11月1日日曜日

『浮草』

1959年製作の小津映画です。先日観たのだけど、時間が経っても余韻の残る映画でした。

昭和30年代の、三重の町が舞台。でも、うまく言えないけれど、江戸時代のような感じがします。
…。牧歌的というか…。
なんというか、三島由紀夫の『潮騒』とか、上野の山に囲まれた不忍池を思い出す。箱庭のような楽園を描いているんです。

旅芝居の一座が小さな町にやってくる。座長は、この町に女とその息子がいる。まれに彼は息子を見たくて公演にやってくる。芝居一座の主演女優が今の座長の女で、嫉妬でトラブルが発生するという話。

ラストまで観て思いました。昔はしょうもない事をしても、それに流されずずぶとくひょうひょうと生きていく事が受け入れられたんだなあと。
今の常識とはまた違う感覚なんだけど、むしろおおらかでいいなあと。

小津映画にしてはめずらしく、あまりモダンではないのですがとっても佳作です。
地味だけどいい映画です。

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